ジェミニは何を変えたのか
従来の検索は、ユーザーがキーワードを入力し、リンクを辿り、情報を読み、自分で判断するという手作業の積み重ねによって成立していました。
この構造はビジネスの仕組みを生み、広告産業を支え、数多くの企業の戦略を形作ってきたと言っていいでしょう。
ところがGemini 3は、その手作業の全過程をAI内部に取り込んでしまいました。
自然言語で質問を投げると、AIが情報の収集から要約、比較、判断材料の提示まで一体化して実行し、結論に近い形で返してくる。
つまりグーグルは検索を「答えを得るための行動」から「AIによる意思決定補助」へと変貌させたのです。
それも、複雑な情報やデータを図やグラフを駆使して視覚的に表現する「インフォグラフィック」という形で表現することもできます。文字化けもなく、きちんとした日本語で表示されます。
OpenAIが提供している生成AIの「ChatGPT」はここまで完成度が高くありません。
この変化が意味するものは、技術者だけの話ではありません。検索という入口をAIが支配したとき、世界中の利用者がどんな情報を基準に考え、どんな選択肢を比較し、何を正しいと判断するか。
その思考プロセスの大部分がAIを通過するようになります。
グーグルが踏み込んだのはこの領域であり、これは単なる検索サービスの刷新ではなく、人類の情報基盤そのものを再設計する試みでした。
筆者作成