あなたの会社にチーフ・AI・オフィサーはいますか？

次の5年間で企業の優勝劣敗が明らかに

　前回は、日本政府が18.3兆円規模の補正予算を決定し、その中でAIと半導体領域に2525億円を投じた背景を解説しました。今回は、経営者がこれから直面する企業変革の実態に踏み込みます。

　今回の政策は単なる産業支援ではなく、企業がAIを前提に動く社会に移ることを示す構造改革の合図です。

　私は全国の経営者と話す中で、この変化が予想以上のスピードで押し寄せていることを痛感しています。

　そこで本稿では、次の5年間で確実に起こる変化を、現実の企業がどのように受け止めるべきか視点を変えて考えていきます。

　今回の補正予算は、景気対策というよりもAI時代の社会インフラを整備する政策だと考えるべきです。

　特に注目すべきは、政府の支援がAI活用を前提とした制度へと一気に再編されつつある点でしょう。

　生産性向上や業務自動化、人手不足対策、デジタル化支援など、企業を取り巻く補助金は今後AI導入企業を優遇する方向に進むと予想されます。

　つまり、国はAIを経営の中心に据える企業に対して門戸を広げる姿勢を明確に示しているわけです。

　政府関係者とも話しましたが、今回の2525億円の投入は、企業がAIを導入できる環境を整えるための第一歩ということです。

　国がAIを国家戦略として位置づけたことで、AI未導入企業は制度面でも不利になる可能性が高まります。

　経営者は単に技術選択としてAIを捉えるのではなく、制度的な必須条件として捉え直す必要があるでしょう。