首相官邸で開かれた政府与党連絡会議=1日午後(写真:共同通信社)
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 国会議員定数削減の議論が急速に進むなか、永田町ではもう一つの政治改革が静かに動き出している。衆院の選挙制度改革だ。改革案の軸は、現行の小選挙区比例代表並立制を廃止し、代わって「中選挙区制」を導入するというもので、自民・維新の連立合意書にも検討の方針が明記されていた。特に、有権者が複数の候補者に投票する「中選挙区連記制」は、石破前首相や当時の政権幹部からも「一つの選択肢」とする発言が出ていたほか、国民・玉木代表も前のめりだ。実際、導入となれば各選挙区の区割りはどうなるのか? 立憲民主党の津村啓介衆議院議員と政治学者・大井赤亥氏が47都道府県・全区割りシミュレーションを公表する。

◎47都道府県・全154選挙区シミュレーションは、2ページ目からご覧ください。

 (衆議院議員・津村啓介、国会議員政策担当秘書・大井赤亥)

静かに熱を帯びる令和の選挙制度改革

 いま、国会で「令和の選挙制度改革」の議論が静かに熱を帯びている。

 直接の発端は10月の自民党と日本維新の会による「連立合意書」の目玉となった議員定数の削減だ。しかしこのテーマの淵源は深く、この1年間、国会では超党派の議論が重ねられており、その成果がいよいよ結論を見いだす時期にきているのだ。

 私たち(津村と大井)は、参院選翌日の7月21日にこのJBpressにて「中選挙区連記制」に向けた緊急提言を行った。石破首相の続投と「大連立」を見据え、その先にそびえる政界再編含みの選挙制度改革に向けて一石を投じたものである。

 実際には石破政権の続投構想は潰え、10月に高市自民と維新との「連立」政権が発足することになった。しかし、注目すべきは、その自維新政権の誕生にあたり、維新の要求する議員定数削減を契機として、それとセットで論じられる選挙制度改革が不可避の情勢となってきたという事実である。

 2024年には衆議院において額賀福志郎議長の下に「衆議院選挙制度に関する協議会」が設置され、海外の選挙制度の研究などすでに9回にわたる意見聴取が行われている。超党派の議員連盟もまた、選挙制度の抜本的改革を求めて、政治学者の中北浩爾氏(中央大)や谷口将紀氏(東大)などを招いて研究会を重ねてきた。選挙制度改革をめぐってはにわかに百家争鳴という感がある。

 ここにあって、私たちは、あらたな衆議院の選挙制度として、3人区を基本とする154選挙区、定数465、2名連記制(2人区では1名単記)を柱とする「中選挙区連記制」を提唱し、その区割り案を公開する。