10年後、日経平均はどこまで上昇?
これまでの計算結果をまとめると、企業が年間10兆円の設備投資を積み増した場合、10年後の企業利益は現在の約1.92倍から約2.32倍へと約2割増加し、PERは約15.6倍から約17.2倍へ約1.6ポイント拡大します。そして、株価は一株当たり利益とPERの掛け算なので、増益ペースの加速とPERの拡大が同時に起きることで、将来の株価は大きく押し上げられることとなりそうです。
現在、日経平均は約5万円ですが、①PERが一定で6.76%の増益ペースが続くケースでは、10年後に約10万円へ上昇する計算になります。一方、②設備投資により増益ペースが加速するケースでは約12.1万円、さらに、③PERの拡大が加わると約13.3万円まで日経平均の上昇は加速する計算になります(図表4)。

今後、日本企業による現預金の有効活用と前向きな設備投資が進むようなら、企業利益や株価は大きく押し上げられる可能性が高そうです。そして、この数年来の日本株の上昇を支えてきた「企業改革」の動きは新たな段階に入ることで、日本株の長期強気相場を支える「背骨」として引き続き作用していくことが期待できそうです。
■まとめに
▶日本企業は株主価値を意識した「企業改革」を進めてきましたが、積み上がる現預金の有効活用が課題として残されています。
▶積み上がる現預金への高市政権、金融庁、そして東証の問題意識は高く、政府主導による重点分野への戦略投資や、コーポレートガバナンス・コードの見直しにより、企業は前向きな投資に取り組むことを強く迫られることとなりそうです。
▶企業による設備投資の積み増しは名目GDPや企業利益の増加ペースを押し上げ、さらに、増益率の高まりがPERを拡大させることで、株価にポジティブなインパクトを与える可能性が高そうです。
※寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。
※個別の金融商品や銘柄を勧めるものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。






