3.HIMARSに酷似兵器が登場

 まずは、米国製のHIMARS(High Mobility Artillery Rocket System=高機動ロケット砲システム)にそっくりの兵器である。

 これは、発射筒の数こそ異なるものの、横から見るとよく似ている。北朝鮮の240ミリ多連装砲をHIMARSに似せて改造したのかもしれない。

写真1 左:北朝鮮の多連装砲 右:HIMARS

出典 左:朝鮮中央通信 右:米陸軍

 ウクライナ戦争では、ロシア軍はウクライナに対して約10倍の量の砲弾を撃ち込んでいる。

 このようなロシアの砲撃を妨害したのが、米欧供与のHIMARSによる射撃であった。

 これから発射される227ミリロケット弾は、ロシア軍火砲の通常砲弾よりも約2倍の射程距離があり命中精度も高い。

 ウクライナ軍はこの兵器を使って射撃中のロシア軍火砲に対し射撃を行い、破壊してきた。

 北朝鮮は、なぜHIMARSに似た兵器を登場させたのか。

 おそらく、ロシアの火砲の天敵であるHIMARSを独自に開発し生産できると主張したかったのだろう。

 北朝鮮の偽物ロケットがHIMARSの砲弾と同じ射距離を飛翔する可能性はあっても、命中させる精度があるとは考えられない。

 その理由は、ロシアが開発していないものを北朝鮮が独自で開発できるとは考えられないからだ。

4.ロシア製防空兵器に酷似兵器の登場

 次は、ロシア製の防空兵器「S-300/400」に酷似の兵器だ。

 この兵器は、軍事パレードに頻繁に登場しているし、実験も実施してきた。北朝鮮はこの兵器に自信を持っているのだろう。

写真2 ロシアの防空兵器S-300/400に酷似のミサイル発射車両

出典:朝鮮中央通信(以下同じ)

 ウクライナ戦争前までは、ロシアと北朝鮮はこのS-400防空ミサイルが欧米製の弾道ミサイルを撃墜できる最新兵器と宣伝してきた。

 だが、実際のウクライナ戦争では、ロシアは英仏共同開発のウクライナの「ストームシャドウ」巡航ミサイルを撃ち落とせないでいる。

 巡航ミサイルを撃ち落とせないのであれば、より高速で飛ぶ弾道ミサイルを撃ち落とすことはできない。

 また、この兵器はウクライナの自爆型無人機で破壊され続けている。

 ロシアの防空兵器は、実際には公表値よりもはるかにレベルが低いのである。