急上昇するハイテク株のウエイト

 というのも、高成長ゆえに米大手ハイテク株には高いPERが付される傾向にありますが、そうした高PERの大手ハイテク株の時価総額が増加することで、S&P500の時価総額に占めるウエイトが大きく上昇しているからです。

 例えば、マグニフィセント7(アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、アップル、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社)のS&P500に占めるウエイトは、この6年余りの間におおむね倍の水準に増加しています(図表2)。

【図表2:マグニフィセント7のS&P500
に占めるウエイト】

 S&P500は時価総額で加重平均した株価指数なので、高PERのハイテク株のウエイトが増えると指数を構成する個別企業のPERに変化がなくても、指数全体のPERは大きく上昇することになります。

米株の平均的なPERは平凡な水準

 ちなみに、こうした特定の銘柄や業種のウエイト変動の影響を排除するため、指数構成銘柄をすべて同じ金額で保有するS&P500均等加重指数のPERを見ると、足元の水準は約17.5倍でおおむね過去の平均的な水準にあることが確認できます(図表3)。

【図表3:S&P500均等加重指数の
12カ月先予想PERの推移】

 こうしてみると、S&P500のPERが歴史的な高水準に上昇したのは、産業構造の変化などから指数に占める高成長のハイテク株のウエイトが上昇したことが主因であって、バブル期に見られたような一部の株価の異常な急騰とは異質なものである可能性が高そうです。