ウォン安株高、0%台成長…多い心配材料

「山高いほど谷深し、とならなければいいが…」

 韓国紙デスクは、こう表現する。

 このデスクは、最近の株高を「世界的な異常ともいえるAIブームを除いてもこれまでの常識が通じない株価の動きで心配ではある」と語る。

 一つは、ウォン安株高である点だ。日本の場合、円安になると輸出企業の業績が上昇するため、株高になりやすい傾向があった。

 だが、韓国では、外国人投資家がウォン安を嫌い、保有株を売りに出して株価が下がるパターンが少なくなかった。

 今回はなぜ、ウォン安株高なのか。

 ウォン安に対する懸念よりも、AIブーム、半導体スーパーサイクル説の「強気マインド」が勝っているためという。

 米国で今後利下げが続き、ウォン安も一段落するとの見方から、今の為替相場をさほど気にしないという見方もある。

 だが、ロシアとウクライナの戦争の行方、世界的な地政学上の問題、さらに米中関係など、あまりに不透明な問題も多く、資源価格や為替が急変する恐れもある。

 外国人投資家の動きは株価を大きく左右するだけに警戒が必要なことに変わりはない。

 かつてのインターネットブームも、もちろん永遠になど続かなかった。

 半導体スーパーサイクル論が牽引しているということは、逆に言えば、半導体市場に異変が起きれば市場全体に大きな影響を与えかねない。

 韓国経済の先行きが明るいわけではないことも気になる。2025年のGDP(国内総生産)成長率は1%を割り込むとの見方が多い。

 空前の株高とはいえ、韓国内では0%台成長で不況色が強いのだ。

 不動産価格に急激な上昇で個人(家計)負債も増えており、不安定要因は多い。

 さらに米韓関税交渉が難航しており、韓国からの完成車対米輸出に25%の品目関税を課した状態が長期化するとの見方もある。

 歴史的なコスピ4000突破。

 最初の試練は、今週韓国で開催予定のAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議前後の米中首脳会談、米韓首脳会談、さらにいまだ実現するかどうか分からない米朝接触など世界中が注目する首脳級ビッグイベントだ。