藤木さんが見落としていたチャンス
藤木さんの事例、あなたはどう感じましたか?「どこにもチャンスなんてなかったじゃないか」と思われたかもしれません。
ここで少し、求人企業の採用担当者の立場になって考えてみましょう。
多くの企業は、たとえ人材獲得が難しい売り手市場であっても、求人を出す際にはあえて少し強気な条件を設定する傾向があります。求人票には、期待感も込めて高めのハードルを設定しておくのです。
これには、「応募が殺到して事務処理が追いつかなくなるのを避けたい」という現実的な理由や、「自社の仕事レベルの高さをアピールしたい」というプライドも影響しています。しかし、現実はどうでしょうか。多くの場合、企業が期待するような応募者が集まることは稀です。
特に、藤木さんが目指すIT業界は深刻な人手不足に悩まされており、人気企業や大手企業でもない限り、厳しい条件のままでは採用目標を達成するのは困難です。
採用担当者には、「いつまでに○人採用する」というノルマが課せられています。最初の募集で目標を達成できなければ、現場部門や経営層から「いったい何をやっているんだ」と厳しい目を向けられることになります。
そんな追い詰められた状況の採用担当者のもとに、「たしかに御社の求める経験は満たしていません。しかし、同じ業界の○○という職務で培った△△のスキルは、必ずこの仕事で活かせると確信しています」という熱意ある応募者が現れたら、どうでしょうか。