© 2024 Other Noises and Krumma Films.
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 どうにかこうにか、憲政史上初の女性の首相が誕生した日本。ジェンダーギャップ指数G7最下位の国。これで、G7で女性の政治トップを輩出していないのは、米国のみ。

 女性大統領と女性首相が国を治めるアイスランドはジェンダーギャップ指数16年連続1位、最もジェンダー平等が進んだ国である。現在のアイスランドはどのように生まれたのか。いつの間にそんなに進んだのか。見て納得の衝撃のドキュメンタリー『女性の休日』。ジェンダー平等先進国となる大きなきっかけとなった、50年前の運命の1日に迫る。

50年前、全く「男女平等」ではなかったアイスランド

 1970年代、アイスランドでは中産階級の拡大で、新居で微笑む主婦のイメージが広まっていた。可愛い子どもと優秀な夫が女性の誇りだと思われ、妻は夫より早起きして化粧をし、男性はコーヒーの淹れ方を知らなくてよかった。

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 昔は日本と変わらなかったアイスランド。一体、どこでこんなに差が開いたのか。

「世界を見たいと思っていた。将来の夢を聞かれると“船長になる”。大人は優しく言った。“無理だよ。女の子だからね”」

「12歳の時から弁護士になりたいと言っていた。周りは“18になる前に結婚するよ”」

 アイスランドの少女たちの夢は大人によって、潰されていた。女性は教育を受けられず、財産もなく、同じように働いても賃金は男性よりずっと低い。

 子どもが「お母さんはうちで何もしていません」というくらい、社会は家事を仕事だと認めていなかった。

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 女性は農場主と認められず、意見は無視された。銀行では女性は下働き、男性だけが出世していく。新聞社では女性はタイピスト、記者は男性と決まっていた。優秀なタイピストが原稿を直していた。いくら働いても評価されない。大勢の女性が不満を抱き、社会を変えたいと願っていた。