(3)ロシアの深刻な構造的問題

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、制裁や戦争、老朽化した油田の影響でロシアの石油生産量は減少しており、2030年までに埋蔵量の大半は採算が取れなくなる可能性がある。

 これにより、戦争経済を支える収入源が脅かされる恐れがある。

 米シンクタンク・ハドソン研究所のルーク・コフィー上級研究員はWSJの取材に対し、ロシアの石油輸出は依然として同国の経済的生命線だと説明した。

 ウクライナ軍のドローン攻撃による持続的な圧力が、ロシアを経済的に圧迫している。

 こうした圧力が戦争を終結させる可能性は低いものの、戦場で成果がほとんど見られないまま、ロシア国内の一般市民は燃料確保に苦労している。

 この状況下で、プーチン大統領がウクライナ侵攻を続ける意義があると国民を説得することはますます困難になっている。

 次に、プーチン大統領が恐れる燃料費の高騰が内閣を倒した事例を紹介する。

(4)カザフスタンでの燃料費の高騰を受けた抗議デモ

 本項は読売新聞「カザフスタンで燃料価格2倍に、抗議デモが拡大…前大統領の引退も要求」(2022年1月5日)を参考にしている。

 中央アジアの産油国カザフスタンで、新年から燃料価格を2倍に引き上げたことに抗議するデモが起き、2022年1月4日、全土に拡大した。

 抗議デモは1月2日にカザフスタン西部で始まり、インターファクス通信によると、カザフスタン南東部の都市アルマトイなどでは5日、デモ隊が行政府の庁舎に突入し、治安部隊と衝突した。

 アルマトイの大統領公邸が炎上しているとの報道もある。治安部隊が離反し、抗議行動に加わる動きも伝えられていた。

 カシムジョマルト・トカエフ大統領は同国の最大都市アルマトイなどに非常事態を宣言し、内閣も総辞職した。