ビットコイン暴落の裏側にトランプ一族?
最高値更新からわずか数日後、ビットコイン市場は突如として大荒れとなった。10月10日から11日にかけて、米中関係を巡る予期せぬニュースが引き金となり、ビットコインはわずか24時間で10%以上急落する事態に見舞われた。
10日夜、トランプ大統領が中国からの輸入品に対し100%の追加関税を課すと表明し、重要ソフトウェアの対中輸出規制にも言及したとの報道が市場に流れた。この突然の発表を受け暗号資産市場ではパニック的な売りが殺到し、わずか一日で過去最大規模となる190億ドル規模のポジション強制清算(ロスカット)が発生した。
これに伴い、ビットコイン価格は週末にかけて一時11万ドルを割り込み、最高値から1万ドル超の急降下となった。アルトコインも軒並み暴落し、一部銘柄では半値以下になるものも現れた。
この暴落の過程では、暗号資産取引所バイナンスで一部トークンが本来の価格連動を外れる「ディペッグ」が発生した。特に米ドル連動型ステーブルコインUSDeは一時0.66ドルまで下落し、これを担保にしていた投資家のポジションが次々と強制清算され、下落に拍車がかかった。背景には、バイナンスが自社取引板の価格を担保評価に用いる仕組みがあり、市場の薄い流動性が価格乖離を増幅させたとの指摘もある。
バイナンスは影響を受けたユーザーに総額2億8300万ドルを補填し事態の収拾を図ったが、「市場急落がディペッグを引き起こしたのか、それともディペッグが暴落を加速させたのか」という点は結局不透明なままだった。いずれにせよ、米中緊張の高まりと市場構造の脆弱さが重なり、相場全体を揺さぶったことは確かである。
暴落の舞台裏では、この急落で巨額の利益を上げた投資家の存在も市場の話題をさらった。匿名の大口トレーダーがトランプ大統領の関税発表直前にビットコインなどを巨額の空売りで仕込み、暴落によって約2億ドルもの利益を得ていたことがブロックチェーン分析で判明している。
タイミングの巧妙さから、コミュニティでは「政権内部から情報が漏れていたのではないか」との疑念も上がったが、直接の証拠は確認されていない。それでもSNS上では「トランプ一族によるインサイダー取引ではないか」との噂まで囁かれ、中でも大統領の息子バロン氏の関与を推測する声も出た。
無論、これらは憶測の域を出ず真相は不明であるが、この疑惑によって市場には不信感が漂う結果となった。