2025年9月、中国外交部は突然、日本維新の会の石平(せき・へい)参議院議員に対して、入国禁止や中国国内の資産凍結といった制裁を課すと発表しました。そのニュースは日本のみならず、世界の華人ネットワークで拡大。一躍、世界から注目を集める存在となりました。
今年7月の参議院選挙で当選した石平氏は中国・四川省に生まれ、天安門事件をきっかけに「反中国」の姿勢を鮮明にし、日本へ帰化。これまで中国の体制を批判し続けています。石平氏に対しては、「中国のスパイ」といった誹謗中傷が続いていますが、石平氏は怯むことなく、帰化制度の厳格化やスパイ防止法の整備、そして戦略的な対中外交の必要性を訴えます。
中国ルポライターの安田峰俊氏がその理由を聞きました。3回に分けてお届けします。
※JBpressのYouTube番組「安田峰俊:ディープアジア観測局」の対談内容の一部を書き起こしたものです。当番組では、中国やアジアのディープな現場を知り尽くしたゲストに知られざる実態を聞きます。詳細はYouTubeでご覧ください(収録日:2025年9月30日)
「スパイ防止法」再議論の必要性
安田峰俊氏(以下:敬称略):国内では排外主義が強まっているように感じます。石平議員に対してすら、SNSなどで「中国のスパイ」だと中傷する声があります。
石平・参議院議員(以下:敬称略):参院選に出馬したときも、選挙運動中も、当選後も、そして中国から制裁を受けてからも、そうした批判は続いています。「中国共産党が石平に制裁したのは中国のスパイであることを隠すためだ」とまで言う人もいます。帰化しても「中国人は日本の政治に関わるな」という人がいて、外国出身者というだけで攻撃する人が、残念ながら日本社会にいます。
安田:参議院議員としての6年間の任期で、何を実現したいと考えていますか。
石平:まず、スパイ防止法は必ず成立させないといけませんし、選挙公約に掲げた帰化制度の厳格化にも取り組むつもりです。
とりわけ私が重視しているのは対中外交です。日本の対中外交には戦略性が欠けており、いまだに1972年の日中共同声明に縛られていると感じます。半世紀前の文書を、今の国際環境にそのまま当てはまるのは不自然です。
米国の議会には、対中国特別委員会などがあります。日本でも国会で中国を巡る問題を真剣に議論し、戦略を構築していく必要があると思います。