強まる中国の脅威、「日中共同声明」今は昔
安田:帰化制度の厳格化は個々の事情が異なるため、判断が難しいのではないでしょうか。
石平:中国共産党と特別な関係を持っていた人が、日本国籍を簡単に取得していいのか疑問です。国民になる以上は、日本を守る意思があるかどうかが重要です。米国では米国国籍を取得する際には宣誓もしますが、日本ではそれすらありません。
一方、「日本のパスポートが便利だから帰化した」と公言するような、日本を舐(な)めている人もいる。こうした状況が起きてしまうのは、日本が自ら日本国籍を軽く扱っているからではないでしょうか。なんとかしなければいけません。
イメージ(イラスト:hapelinium/Shutterstock.com)
安田:日中共同声明は半世紀前のもので、今とは状況が大きく違いますね。
石平:一党独裁など変わらない部分もありますが、中国の経済力と軍事力は当時と比べものになりません。今や国内総生産(GDP)の規模も日本をはるかに超え、中国にとって日本は脅威ではなくなりました。むしろ中国が軍事力を背景に主張を押し通し、アジア全体の脅威になっています。
台湾の位置付けについても、共同声明の当時は日本側が中国の立場をある程度理解してあげたようなスタンスでしたが、いまは日本が中国に対して優位に立てる状況ではありません。日本が圧倒的に強い立場であればそれでよかったかもしれませんが、今の状況は違います。
中国の脅威にどう対処するかは、日本にとって最大級の問題です。そのため、半世紀前の日中共同声明を基準にした対中外交は改めるべきではないでしょうか。
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