アートホテル「BnA_WALL」(東京都中央区日本橋大伝馬町1-1)に描かれた壁画と、プロジェクトに関わったメンバー。壁画のアーティストは、カナダ人のClem Chenさんと日本人の根岸桃子さんの2人組「CLEMOMO」。1階のカフェから制作現場の地下1階をのぞき込めることから、「水槽の魚になったような不思議な気分で描いていた」とClem Chenさん
(ライター:加藤恭子)
注目アーティスト4組が巨大壁画を制作
CREATIVE MUSEUM TOKYOの開館など近年、東京・日本橋がアート界で注目されている。たとえば2021年にオープンしたアートホテル「BnA_WALL」は、気鋭のクリエイターたちとつくりあげた“宿泊型アート作品”を楽しめるという斬新なホテル。宿泊費の一部がアーティストに還元されるパトロンシステムもユニークだ。また、一見、路地裏のような趣がある「THE A.I.R BUILDING(ジ.エア ビルディング)」は、才能のあるクリエイターや新進気鋭のブランドがビル1棟をハックし、表現を発揮できるコンセプトビルディングとして話題を集めている。
「CLEMOMO」の作品 展示期間:2025年10月3日(金)~11月30日(日)
そんな日本橋を創業地とする老舗の大手文具メーカー、ぺんてる株式会社が立ち上げたのが、「Pentel×Mural Rookies Projectl(ミューラルルーキーズプロジェクト)」。若手アーティストが同社の画材を使って日本橋周辺に巨大壁画を描くという大掛かりなプロジェクトであり、2回目となる今年は、250件以上の応募の中から選ばれた4組が3か所に分かれ、高さ3~6メートルの壁画を制作した。
江戸桜通りのビル建設現場(東京都中央区日本橋本町1)の仮囲いをキャンバスとして制作された巨大壁画。アーティストは、絵本作家としても活動する画家の北林みなみさん。幼少期を過ごした東南アジアの自然から影響を受けた
北林みなみさんの作品 展示期間:2025年10月3日(金)~10月31日(金)
アーティストらが使用した絵の具は、耐水性のアクリル絵の具「スクールガッシュ」。交通量の多い江戸桜通りのビル建設現場の仮囲いをキャンバスとした北林みなみさんは、複数色の絵の具をタッパーで混ぜて使用し、トロピカルな雰囲気の森と架空の生きものを描いた。時折、クラクションがけたたましく鳴るなか、「いろいろな人の目に触れる場所なので、とにかくポジティブな気持ちになるようにしたいと考えました」と話す。
江戸桜通りのビル建設現場の壁画。アーティストは沖縄在住の“看板屋”としても活動する安眠さん。やわらかな曲線によるポップな筆致で架空の生きものたちを表現。「人通りが多い場所なので、制作中はじゃまにならないように気をつけました」
安眠さんの作品 展示期間:2025年10月3日(金)~10月31日(金)
