シカゴへの州兵派遣について記者会見を開いたイリノイ州のプリツカー知事(9月2日、写真:AP/アフロ)
トランプは認知症とイリノイ州知事が発言
2028年の民主党大統領候補の最も有力な一人と目されるJ・B・プリツカー・イリノイ州知事(60=民主党)が10月初旬、「ドナルド・トランプ大統領(79)は認知症だ」と発言。
これまで一部の臨床心理学者が唱えてきた「トランプ認知症」説が再燃しだした。
これは、反移民デモが続く中、トランプ氏の命令で国防総省が連邦政府職員と財産を守るためとして、テキサス州兵をイリノイ州に出動させたことを受けての発言だった。
国防総省当局者は当初60日間、200人の州兵が動員されたと述べている。
ほかでもない、民主党の実力者で、高学歴(名門デューク大学卒、ノースウエスタン大学院法務博士取得)・億万長者かつ慈善事業家のプリツカー氏が自信をもって「トランプ認知症説」を打ち上げたのだ。
プリツカー氏(資産総額はフォーブス誌推計で約35億ドル)はこれまでも「トランプ認知症」説を唱えてきた。
しかも、同氏はトランプ氏(同約65億ドル)とは1990年代来の商売敵であり、政敵だ。
ニューヨーク・マンハッタンのグランド・ハイアット・ホテル(プリツカー家が所有)を巡る1990年代の不動産取引*1で訴訟合戦に発展したことが、その起源とされている。
*1=トランプ氏はグランド・ハイアット・ホテルの50%の株式をプリツカー家に1億4000万ドルで売却、プリツカー家はホテルの99%の株式を所有することになった。
「苦虫を嚙み潰したようなトランプ氏の顔が目に浮かぶようだ」(米主要メディアの政治記者)
折しも、トランプ氏について精神的な鋭敏さ(mentally sharp)、誠実さ、信頼性など、トランプ氏自身の人格・資質に対する評価が落ちてきている。
米国の世論調査会社、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)調査では、「精神的な鋭敏さ」を評価する割合が低下しているという結果が出ている。
トランプ氏が精神的鋭敏さを保っていると答えた人は、2024年7月には58%あったのに対し、今年7月には48%と1年で10ポイント低下した(共和党支持者の多くは保っていると答えたが、民主党支持者がそう答えたのはわずか14%だった)。
(Trump's job approval and views of his personal traits | Pew Research Center)