チームも個人のタイトルを応援する日本

 リーグ優勝を逃した日本ハムは9月28日、レギュラーシーズン残り3試合となったロッテ戦に、最多安打のタイトルがかかる清宮選手を1番打者で起用した。新庄監督の采配に、清宮選手も3安打で応え、最多安打争いのトップに1本差に迫った。

 スポーツ報知の記事によれば、新庄監督は「これで(タイトル)獲ったとしても、なんかピンと来ないんだよね」と苦笑いしつつも、「まあでも(タイトル獲得なら)文字(球史)には残りますからね」と残り2試合も先頭打者で起用する意向を明かしたという。

 日本のプロ野球では、チームの優勝やCS進出の可能性が消滅した後の消化試合で、タイトルがかかった選手に少しでも打席が多く回るように打順を変更したり、打率を維持するために試合に出さなくしたりする起用がみられる。過去には、味方選手のタイトルを後押しするために、ライバル選手に露骨なまでの敬遠攻めを繰り返し、盗塁王がかかった選手に執拗な牽制をすることがあった。

 一方で、今季の消化試合をめぐっては、チームの事情を優先するような動きも見られる。クライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅した広島が、9月下旬から菊池涼介選手や秋山翔吾選手、栗林良吏選手ら1軍の主力選手を次々と登録抹消し、代わりに経験の浅い若手選手を昇格させている。チームとしての来季を見据えた戦略といえる。

 横浜、中日で活躍した元捕手で監督経験もある谷繁元信氏がこの起用法に「生涯の個人成績」という視点から注文を付けた。