暗号資産への投資がもうすぐやりやすくなる?(写真:Wolfgang Golob/Shutterstock.com)
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(我妻 佳祐:ミニマル金融研究所代表)

 現在、政府では暗号資産(仮想通貨という呼び方も広く普及していますが、本稿では暗号資産で統一します)制度の検討が進んでいます。

 私がまだ公務員だった頃、1ビットコインが10万円くらいのときに試しに買ってみようかと思ったことがありました。そのときは上司に「問題になるかもしれないからやめとけ」といわれ諦めましたが、当時はそのような「詐欺まがいのもの」という扱いだったことを思えば隔世の感があります(そのとき買っておけばボロ儲けできたと思うと残念です)。

 さまざまな論点があげられていますが、大きな関心を呼んでいる論点として、「暗号資産のETFが解禁されるか?」というものがあります。改めて整理しておくと、ETFとは、Exchange Traded Fundの頭文字を取った略称で、日本語では「上場投資信託」と呼ばれます。

 投資信託を証券取引所に「上場」することで、取引が格段にしやすくなります。上場されていない投資信託だと、金融機関が扱っていないものは購入できませんが、ETFは上場されているため、どの金融機関からでも購入できます。また、ETFのメリットとして、一般的にコストが安いことがあげられます。

 非上場の投資信託とETFにはさまざまな違いがあるとはいえ、どちらも投資信託であることには変わりありません。ですので、投資信託の最大のメリットである、「少額からでも分散投資ができる」というところが最大の魅力なわけです。

 とはいえ、投資信託の投資対象はなんでもいいというわけではありません。法律(投資信託及び投資法人に関する法律)では、投資信託の投資対象を、「有価証券、不動産その他の資産で投資を容易にすることが必要であるもの」である「特定資産」として限定しています。

【特定資産の一覧】
▶︎有価証券(金銭債権やデリバティブ等を含む)
▶︎不動産
▶︎貴金属や穀物などの商品先物取引の対象
▶︎再生可能エネルギー発電設備
▶︎公共施設の運営権

 現状では暗号資産はこの特定資産として指定されていないため投資信託の投資対象とすることはできず、当然、上場してETFとすることもできません。暗号資産ETFの実現のためには、「暗号資産への投資を容易にすることが必要かどうか?」の判断が必須ということになります。

 個人的には、暗号資産はまだまだバクチの一種という側面の方が強いのではないかと感じています。いつまで経っても決済手段として一般化する気配は見えませんし、デジタルエコノミーの基礎的インフラといわれても、「競馬はバクチじゃない、スポーツだ!」というのと同じで、所詮はバクチを打つための言い訳なのではないかと感じてしまいます。

 もし、暗号資産がバクチとしての性質が強いのであれば、「投資を容易にするなどもってのほか」というスタンスも成り立つでしょう。馬券を投資信託の特定資産として追加しろという主張をしても、誰からも相手にされないのと同じです。