経営管理ビザ取得を指南するブローカーも

 経営管理ビザと中国人の問題は、ことし初めごろから国会で再三、議論のテーマとなってきました。

 3月28日の参院予算委員会では、野党議員が「これ(経営管理ビザ)、中国では非常に有名で、日本で会社をつくれば高額医療をただ同然で受けられると宣伝されています。このビザ取得の専門の仲介業者も多数いる」と強調しました。

 さらに、2015年には約7000人だったこのビザ取得の中国人は、2024年には約2万人となり10年で3倍近くとなった点を強調。経営管理ビザの取得者は半分以上が中国人であり、この中には、本来の趣旨から外れた医療目的の中国人が相当に含まれているのではないかと指摘しました。

 5月8日の参院外交防衛委員会でも、「このビザの取得方法を指南するブローカーまで現れてきた」「移住目的の中国人がペーパーカンパニーを設立する事例も多発している」といった指摘が野党議員から出ました。資本金500万円以上、もしくは従業員2人以上という条件を満たしていればOKで、年齢も学歴も日本語力も関係ない、家族の帯同も認められる。そうした制度の甘さを政府は放置するのか、というわけです。

 一連の問題は各所でマイナスの影響を与え始めています。

 新聞各紙やネットメディアなどの報道によると、明確な事業目的を示すことができない中国人が、日本の行政書士らに手続きの相談に訪れるケースが急増していると言います。

 また、中国国内のSNSには「移民セット」と称し、220万円で一家3人の経営管理ビザと来日後の住宅を用意するとの書き込みが登場。投稿主は、中国人に経営・管理ビザを不正取得させるため、無資格で会社設立の登記手続きをした疑いで昨年秋に警察に摘発された京都市内の中国人女性でした(読売新聞2025年3月2日)。

 さらに大阪市の浪速区や西成区では、経営管理ビザを使って移住した人々が住む区画が街のあちこちにできつつあるとされています。