中央線の複々線化は三鷹駅で終了ではなかった

　快速タイプの列車を運行するメリットは、主に3つある。

① 都心から離れた駅でも所要時間が短縮されるので、通勤・通学圏の拡大が期待できる
② 線路容量が増えるので列車の運転本数を増やすことが可能になる
③ 利用客を分散できる

　五方面作戦は混雑率の緩和を目指した施策なので、①は効果として期待されていない。つまり、②と③を期待していた。

　中央線は1932年という早い段階から御茶ノ水―中野駅間を複々線化していたが、五方面作戦を踏まえ、1966年には中野―荻窪駅間の複々線化を完了している。短い区間とはいえ、ここまで早く複々線化を実現できたのは、それ以前から計画があり用地を取得済みだったことが背景にある。

　その後、中央線の複々線区間は1969年に三鷹駅まで延伸。中央線には営団地下鉄（現・東京メトロ）東西線が中野駅から乗り入れていたが、その乗り入れ区間も三鷹駅まで延長された。

　実は中央線の複々線化は三鷹駅で終了というわけではなく、その後も立川駅まで西進する青写真が描かれていた。踏切の除去などを目的とした線路の立体交差工事を実施していたので、そうした工事と並行して複々線化も着手できそうだが、三鷹駅まで線路が延びた後は、特に進展しなかった。その理由は判然としないが、中央線沿線の宅地化が進む中で、用地買収が困難だったことは想像に難くない。