テキサス州オースチンで運行を始めたテスラのロボタクシー(6月22日、写真:ロイター/アフロ)
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 7月中旬、米国の自動運転業界が立て続けに大きな動きを見せた。

 米アルファベット傘下の米ウェイモがテキサス州オースティンでサービス提供地域を2倍以上に拡大したことを皮切りに、配車サービス大手の米ウーバーテクノロジーズが電気自動車(EV)メーカーの米ルーシッド・グループと大型提携を発表。

 長らく実証実験の段階にあったロボタクシー(完全自動運転タクシー)は、いよいよ本格的な商業化と都市部での覇権争いの時代に突入した。

 一連の動きは、業界の先頭を走るウェイモを、ライバルの米テスラなどが猛追する競争の激化を象徴している。

先行するウェイモ、拡大フェーズへ移行

 業界の転換点を印象付けたのは、ウェイモの急展開だ。

 英ロイター通信によれば、ウェイモは7月17日、オースティンでのサービス提供地域を、従来の37平方マイルから90平方マイル(約233平方キロメートル)へと一挙に拡大した。

 これは山手線内側の面積の約3.6倍に相当する。

 これにより、新たにクレストビューやウィンザーパークといった複数地区の住民が、同社のロボタクシーサービスを利用できるようになった。

 ロイター通信が別の記事で報じたように、これに先立つ7月15日、ウェイモは重要なマイルストーンを発表した。

 運転席に人間を乗せない「完全自動運転」での累計走行距離が1億マイル(約1億6000万キロメートル、地球約4000周分)を突破したという。

 わずか半年で走行距離を倍増させるという驚異的なペースは、同社の技術的成熟度と事業拡大への自信を物語る。

 ウェイモの幹部は「長年の計画的な進歩が、今や迅速かつ責任ある規模拡大へと加速している」と述べ、開発フェーズから商業展開フェーズへ明確に舵を切ったことを示した。

 ウェイモの強みは、この膨大な走行データにある。

 10年以上にわたる公道での走行で蓄積された経験は、多様な交通状況への対応能力を高め、安全性と信頼性の向上に直結する。

 専門家は「この1億マイルというマイルストーンで得られた累積的な経験は、他のサービスに対するウェイモのリードをさらに広げるだろう」と分析しており、同社の技術的優位は当面揺るがないとの見方が強い。