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7月の参院選では、共産党が議席数を減らし、立憲民主党も議席維持にとどまりました。左派・リベラル政党の人気が停滞する一方、参政党などSNSを巧みに活用する「第三極」が支持を広げ、若者を中心に存在感を高めています。これまで「護憲」を軸に支持を集めてきたリベラル勢力は、いま大きな岐路に立たされています。凋落するリベラル勢力に活路はあるのでしょうか。ドイツ出身で長年日本に暮らしてきた著述家のマライ・メントライン氏が、『「あの戦争」は何だったのか』 (講談社現代新書)を上梓した評論家で近現代史研究者の辻田真佐憲氏に話を聞きました。全4回に分けてお届けします。

【Part1】「あの戦争」と「日本人ファースト」、ドイツとの比較で考える「日本の保守」とは
【Part2】「教育勅語は良いことを言っている」は正しいか?そもそも日本の「保守」とは…必要なのは天皇の再定義
【Part3】​保守vsリベラルのプロパガンダ合戦、「バズる」政党が招く危うい分断…ドイツ・ナチスの教訓とは

※JBpressのYouTube番組「マライ・メントラインの世界はどうなる」での対談内容を書き起こしたものです。詳細はYouTubeでご覧ください(収録日:2025年7月24日)

存在感失うリベラル、若者に響かない「護憲」

マライ・メントライン氏(以下:敬称略):右派政党の躍進が目立つ一方、リベラル勢力は下火になっているように見えます。その背景には何があるのでしょうか。

辻田真佐憲氏(以下:敬称略):日本のリベラルは高齢者に頼りすぎました。左派政党ほど高齢者層の支持が厚かったのですが、その支持層が徐々に減っています。今回の参院選では、共産党などが議席を減らしました。

 憲法第9条を守る「護憲派」が左派の柱でしたが、もはや守るだけでは説得力が弱いと思います。憲法の精神を時代に合わせて生かすには、絶えず見直していく必要があるのではないでしょうか。

 右翼が「教育勅語の復活」、左翼が「憲法の永久維持」といった硬直した議論ばかりでは、若い世代がもっと現実的な政策、例えば自分たちの賃金を向上してくれそうな政党に魅力を感じるのは当然です。今回、立憲民主党が議席を維持したとはいえ、訴求ポイントを変えていかなければ、日本で左派リベラルは今後ますます縮小していくでしょう。

マライ:ドイツでも同様の傾向があります。中道左派の社会民主党がお年寄り政党になってしまい、若者の支持が集まらなくなりました。その結果、若者の一部はより左に流れていっています。

 さらに、中道右派と中道左派が長年連立を組み続けたことで、何かいい政策が出ても結局どちらの政策かが不明瞭になる弊害も起きています。