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(英フィナンシャル・タイムズ紙 2025年7月31日付)

Adam DereweckiによるPixabayからの画像

 英下院議員のニール・オブライエンは分別のある公務員だ。英保守党が新しい政策を策定するよう彼に要請したことには期待が持てる。

 コンテンツ配信プラットフォームの「サブスタック」に先日行った投稿で、オブライエンはいくつもの問題の「融合」がこの国を悩ませていると述べている。

 まさにその通りだ。移民は高水準で経済成長率は低水準だ。そうだ、そうだ。

 働く世代への給付金は制御不能になっている。そう指摘してくれる人がいてよかった。英国は国家的な改革のお手本として日本の明治維新に着目すべきだ――。

英保守党が手本と呼んだ「明治維新」

 え、何だって? ちょっと待て。

 明治維新と言えば1868年、工業化を猛スピードで進めるために数世紀に及ぶ封建制度と鎖国をやめたことだ。日本は都を移した。サムライを退け、徴集兵からなる軍隊を編成した。

 これらはすべて、高い技術力を持った西欧に征服されたり隷属させられたりするのを防ぐためだった。

 実際、当時のアジアの大半はそういう運命をたどった。明治維新は、あらゆる大きな社会で経験されたものと同じくらい劇的な断絶だった。

 今の英国に必要なのは、GP(かかりつけの医師)の診療予約をもっと早い時期に取れるようにすることと、配偶者ビザのルールを厳しくすることだ。

 ドラッグストアの「ブーツ」でマウスウォッシュを万引きする輩も罰する必要がある。

 筆者は何もウケ狙いで卑近な話をしているわけではない。

「ささいな」犯罪に真剣に対処すべきだというリフォームUK(改革党)のナイジェル・ファラージの指摘はその通りだし、保守党のロバート・ジェンリックも同様に正しい。

 だが、将軍が治めていた時代の日本が危機に見舞われた経験には、参考になることなど何もない。

 オブライエンの主張がやりすぎだとするならば、英国右派の過激な勢力の騒ぎ方は、見てみないことには信じられないほどだ。

 彼らは、社会の完全な崩壊とその流れを逆転させる過激な方法を論じている。もし英国が壊れているというなら、筆者はただ、こう聞いてみたい。いったい「何に比べて」壊れているのか。

 その答えは2つ考えられる。一つは、ほかの国々に比べて。もう一つは、過去の英国に比べてだ。順番に見ていこう。