新妻遼己(写真は2025年2月22日、日本選手権クロスカントリー、U20男子8km) 写真/日刊スポーツ/アフロ
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(スポーツライター:酒井 政人)

1500mは高校歴代3位も悔しい日本人トップ

 インターハイの男子5000mは1993年からケニア人留学生が優勝をさらってきた。過去、各世代の日本人エースたちが挑んできた高い壁。昨年は鈴木琉胤(八千代松陰/現・早大)が4人の留学生に先着するも悲願のタイトルに1秒届かなかった。

 今年は前回6位(日本人3番手)に入った新妻遼己(西脇工3兵庫)が果敢なチャレンジを見せる。

 ドラマは大会初日の1500mからあった。今年は「暑さ対策」のため、タイムテーブルと番組編成が変更。従来の予選・決勝からタイムレース決勝となり、最終4組で資格記録上位選手がフレッシュな状態で激突した。

 前回覇者のフェリックス・ムティアニ(山梨学院3)が先頭に立つと、新妻が背後につける。400mを58秒、800mを1分58秒で通過。残り1周を切って、トップ争いはふたりに絞られた。

 そして1200mを2分57秒で通過。残り150mで「余裕があった」という新妻だが、ムティアニにはがされていく。最後の直線を必死に駆け抜けるも、留学生の背中に近づくことはできなかった。

 ムティアニが3分39秒20の大会新記録で連覇を達成。新妻が高校歴代3位となる3分40秒83で2位に入った。3位の山本聖也(高知農3)が高校歴代5位の3分42秒05、4位の吉田星(東海大札幌2北海道)が同7位の3分42秒27(高2最高)、5位の小林環(静岡東3)が同9位の3分43秒50と好タイムが続出した。

 大幅ベストで日本人トップに輝いた新妻だが、「ラスト100mで抜こうと思っていたんですけど、その前に離されてしまい、諦めてしまった部分がありました。ラストを切り替える練習ができていなかったこともあり、不甲斐ない走りになって悔しいです」と不満を口にした。

 それでもメイン種目が残っているだけに、「5000mではムティアニ君に負けたことがありません。ラスト100mまで集中して、全国1位の称号を手に入れたいと思います」と2日後のリベンジを誓っていた。