放送後の「紀行コーナー」が必見だったワケ
江戸パートのほうは、田沼意次と意知の親子が、松前藩が「抜け荷(密輸)」をしている証拠をつかもうと東奔西走。蝦夷地を直轄地にするために、松前藩から上知(あげち)、つまり領地を召し上げる必要があり、その理由として「抜け荷」の実態をつかもうとするも、なかなかうまくいかない。
今回の放送では、松前藩の藩主・松前道廣(まつまえ みちひろ)が弟の廣年(ひろとし)とともに、花魁の誰袖(だがそで)のもとに現れ、ついに抜け荷に手を染めようとするところで終わった。
松前道廣をえなりかずきが、弟の廣年をお笑い芸人のひょうろくが演じて話題となったが、今回ぜひ見てほしいのが、放送後の紀行コーナーだ。松前廣年の肖像画が、ひょうろくにそっくりなのである。このキャスティングはアッパレとしか言いようがない。
そのほかに今回の放送では、俳優の伊藤かずえ、タレントのベッキー、お笑いトリオ「3時のヒロイン」の福田麻貴が、それぞれマツ、タケ、ウメという役名で、日本橋で店を営む女将3人組として登場したことも話題を呼んだ。さらに、お笑い芸人のマキタスポーツも、ていが漢籍の手ほどきを受ける寺の和尚役として登場している。
ちょっとしたシーンも気を抜けないのが、今回の『べらぼう』だ。日本橋編も楽しみである。
次回は「灰の雨降る日本橋」。丸屋を買い取った蔦重だったが、天明3(1783)年に浅間山の「天明大噴火」が起き、江戸にも灰が降り注ぐ。断続的に3カ月もの間、噴火が続くなか、蔦重が灰の除去のために懸命に働いているうちに、ていとの距離が縮まることになる。
【参考文献】
『江戸参府旅行日記』(エンゲルベルト・ケンペル著、斎藤信訳、平凡社)
『蔦屋重三郎』(鈴木俊幸著、平凡社新書)
『蔦屋重三郎 時代を変えた江戸の本屋』(鈴木俊幸監修、平凡社)
『探訪・蔦屋重三郎 天明文化をリードした出版人』(倉本初夫著、れんが書房新社)
「蔦重が育てた「文人墨客」たち」(小沢詠美子監修、小林明著、『歴史人』ABCアーク 2023年12月号)
「蔦屋重三郎と35人の文化人 喜多川歌麿」(山本ゆかり監修『歴史人』ABCアーク 2025年2月号)
『江戸の色町 遊女と吉原の歴史 江戸文化から見た吉原と遊女の生活』(安藤優一郎著、カンゼン)