【第3段階】米国が軍事介入、中国は台湾上陸作戦を開始
【第3段階 米国の軍事行動と戦争突入】
●米国 米軍は、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル基地とウラン濃縮施設へのミサイル攻撃を行う。
●北朝鮮 潜水艦艦隊が壊滅的な被害を受け、原子力関連施設が一時的な機能停止に追い込まれる。報復として北朝鮮は北緯38度線付近に地上部隊を展開し、韓国との非武装地帯(DMZ)沿いにミサイルを配備し、在韓米軍やインフラへのサイバー攻撃を開始。情勢は一気に戦時モードになる。
●韓国 米国が事前協議なく北朝鮮を攻撃したことに強い不満と不信感を示す。
●中国 台湾周辺の全面的な海上封鎖を実施し、台湾への上陸作戦を開始。中国人民解放軍は台湾本島の周辺諸島を占領し、本島への上陸を開始する。同時に台湾国内の通信網が深刻な障害を受ける。
●米国 台湾防衛のため、米艦隊の派遣を決定。日本・オーストラリアとの連携を得て中国による海上封鎖の突破を図ろうとする。日本に「中国の封鎖線に対抗するため、海上自衛隊を日豪連携で派遣せよ」と要請する。
●日本 日本国憲法9条との整合性や「自衛隊の海外出動には国会承認が必要」という姿勢を崩さず、米国の要請には慎重な立場を取る。日本国内では、放射能災害による人道危機が続き、軍事対応に割ける余力も乏しいという現実があった。
日本政府は米国に対し、以下のメッセージを送る。
「日米安保条約の下で、日本は今回の事案を『日本への直接的軍事攻撃』とみなしていないため、米国の要請を拒否する権利がある。ただし、人道的危機に対応する範囲で米国と協力する」
「日本の自衛隊は憲法上、外国に対する攻撃的作戦には関与できない。また、今回の海上自衛隊派遣の要請は台湾に関連するものであり、北朝鮮に対してではない」
この段階になると、日本国内の避難希望者は数千万人に達し、空港・港は壊滅的に混乱する。日本政府には大規模避難のノウハウが不足していた。こうしたことから、日本政府は周辺国に緊急ビザへの対応や輸送支援を要請する。
ところが……。
●米国 医療チーム、放射線対策班は派遣予定だが、避難輸送支援は提供しない。
●中国 「統一中国の承認」を避難者の受け入れ条件として提示してきたため、日本政府は「避難民が人質になる可能性がある」として中国の提示を却下する。
●日本 空港や駅、各自治体は大混乱で、各地で暴動が発生する。米国に治安支援を求めるが、米国は拒否。古里原発からの放射線物質が日本に降り注ぎ、日本政府は「原子力緊急事態宣言」を発令。外国人も含めて無秩序に出国を試みる動きは止まらず、“秩序ある避難”はほぼ不可能に。日本政府は米国政府に対し、「日本政府は現在の放射能災害に対し、日本国民への緊急ビザの発給と避難輸送支援を要請する」と正式に要請する。
●韓国 古里原発周辺の被災地からの大規模避難で韓国の国内は混乱し、暴動や交通マヒが起こる。米国に治安支援を要請するも、米国は応じず。韓国の政権は戒厳令の検討に入ったが、結論を出せず。
●米国 福島第一原発事故のときと同様、放射線対策チームや医療支援を日本に派遣するが、避難輸送や日本国内の治安に関する支援の要請には「台湾と朝鮮半島の同時対応で戦力が分散している」とし、応じず。
日米韓の同盟は分裂し、信頼関係は崩壊寸前になる。机上演習に参加した誰もが「戦争は遠い未来のことではなく、現実の目前にある」と痛感し、一連のシミュレーションは終了した。