イスラエルの空爆で黒煙を上げるテヘランの石油貯蔵施設(6月16日、写真:ロイター/アフロ)

 ウクライナは5月6~7日、ロシアのモスクワなど各地へ、また6月1日にはロシアの爆撃機基地数か所へドローン攻撃を行った。

 ウクライナにとっては大戦果であるが、ロシアにとっては不愉快極まりないことであったようだ。

 それゆえ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナのドローン攻撃に対して「報復を行う」と発言し、特にウクライナの首都キーウに対して、大量のミサイル攻撃や無人機攻撃を行った。

 これまでにない規模であったという。

 このこれまでにない規模の攻撃とは実際にどうなのか、今後ミサイルと無人機の攻撃規模はどのようになるのかについて、以下の順で分析する。

①ロシアのミサイル攻撃数は減少しているか
②ミサイル攻撃増減、その理由と見通し
③ミサイルと自爆型無人機の生産のどちらを優先するか
④イスラエルとイランの戦争で生産量への影響 

ロシアのミサイル攻撃数は減少している

 ロシアのミサイル攻撃数が減少するときは、生産・保有量が減少しているものと考えられる。したがって、現在は生産量が減少し、保有も枯渇しつつあると予想される。

 ロシアによるウクライナ侵攻以降の月間ミサイル攻撃(発射)数の実態(推移)は、グラフ1のとおりである

グラフ1 ロシアのミサイル攻撃数(月間)の推移

出典:ウクライナ軍参謀部日々発表資料を筆者がグラフにしたもの(以下同じ)

 昨年までの月間の回数を見ると、最も多い時期は400発であり、最も少ないのが150発であった。

 今年になってからは、100~150発で推移している。

 例えば、1月から5月までの5か月間の回数を比較すると、2023年では平均約250発、2024年で300発以上、2025年で平均130発である。

 全般的な推移から見ると、ロシアのミサイル攻撃数は、減少している。それも半数になっているといえる。