小学校高学年の63%がSNSを利用しているとの調査結果も(写真はイメージ、mapo_japan/Shutterstock.com)
2010年ごろから2024年に生まれた若者を「α(アルファ)世代」と呼ぶ。大半は現在小学生だが、「Z世代(1990年代半ば~2010年代初頭に生まれた若者)」に続き、徐々に消費のトレンドを生み出し始めている。α世代の消費文化やコミュニケーション環境を捉えるうえで重要なSNSの利用実態はどうなっているのか。ニッセイ基礎研究所研究員(生活研究部)の廣瀬涼氏がレポートする。(前後編の【前編】)
【後編を読む】アダルトコンテンツや過激なネットミームも拡散、背後にある小学生の情報環境と「重大なリスク」
流行からタイムラグが生じたネットミーム
先日、X(旧Twitter)を閲覧していた際、興味深い投稿が目に留まった。
〈長女11歳が『学校でまた別のネタが流行しだして、なんの話かわからなくてついていけない……』と言うので、『どんなネタ?』と聞くと、『えっと……えっほ? えっほ? なんとかって伝えなきゃ? みたいなやつ……』と、言いにくそうに教えてくれた。ママ知ってる。もう旬は過ぎたネタだ、それ〉
ここで子どもが話しているのは、2025年2月ごろにXを中心に流行したネットミーム「エッホエッホ」だと考えられる。これは、メンフクロウのヒナが草の上を走る画像に「エッホエッホ、○○って伝えなきゃ、エッホエッホ」といったテンプレート的な文言を添えて投稿されるもので、一種のユーモアある“情報伝達の使命感”を演出する構文ミームとして人気を集めた。
このエピソードからは、2つの興味深い観点が浮かび上がってくる。ひとつは、ネットミームの流行が小学生世代に届くまでに一定のタイムラグが生じている点。もうひとつは、SNSを日常的に利用していない、あるいは利用が制限されている彼らに、こうしたミームがどのような経路で伝播しているのかという点である。
いずれも、デジタルネイティブであるはずの子どもたちの情報接触の現実を考えるうえで見過ごせない視点であり、α世代の消費文化やコミュニケーション環境を捉えるうえでも重要な示唆を含んでいると筆者は考える。