東大大学院は中国人であふれている
先日、久しぶりに母校に行き、地下鉄の本郷三丁目駅から東大正門まで歩いたが、中華料理店が増えている。東大の学生の12%が中国人留学生となれば、ニーズがあるからである。私が通学していた55年前とは、東大界隈もすっかり様変わりしてしまった。
中国の受験地獄が、私の母校を、また周辺の店をも変えてしまっている。東大も、中国の一流大学に合格しなかった中国人学生のための逃げ場になったようである。
実際に、イギリスの大学評価機関QSの「QSアジア大学ランキング2025年版」によると、1位が北京大学、2位が香港大学、3位がシンガポール国立大学、4位が南洋理工大学、5位が復旦大学、6位が香港中文大学、7位が精華大学、8位が浙江大学、9位が延世大学校、10位が香港城市大学である。日本のトップは東京大学で、21位である。
この大学ランキングが示すように、人材開発の点でも、中国の競争社会は厳しい。古代からの競争社会という中国の歴史的特性を無視して、今の中国を語ることはできない。中国をさげすみ、罵詈雑言を浴びせただけで日本が再生するわけではない。
中国批判をすれば、テレビなどのマスコミで歓迎されるからか、嫌中を売り物にしている者も多いが、「百聞は一見にしかず」であり、彼らこそ訪中して現場を見てくるべきである。

*QSアジア大学ランキング2025年版はこちらから確認できます。
世の中が好況のときは、給料の高い民間企業に多くの人材が吸い込まれていった。ところが、不況になると、民間企業の社員よりも公務員のほうが安定した生活を送ることができるということで、民よりも官の人気が高まる。それは、日本も中国も同じである。
2024年2月1日に実施された国家公務員試験「国考(グオカオ)」には、3万人強の募集枠に対して、過去最多の325万8274人が受験した。北京の「中華職業教育社連絡部一級主任課員及び主任以下」という職種の1名の募集には、1万5678人が応募した。ものすごい競争社会である。
その競争社会がAIなどの先端技術で世界をリードする状況を生んでいる。そのことを理解せずにハーバード大学から留学生を締め出しているトランプに勝ち目はない。