輸入先のトップは中国、それでは輸出先のトップは?

 確かに、かつてはフランスの植民地であった。そのため、経済的にフランスの支配下にあったと言える。

 しかし、現在は大きく違う。

 2023年の輸出先としては、構成比11.5%を占めるオランダが最大で、最大の輸出製品であるカカオ豆やその関連製品が多く占める。以下、スイス(構成比10.6%)、マリ(8.7%)などが続く。

 一方、2023年の輸入先としては、14.8%を占める中国が最大で、化学工業品、機械・電気・輸送機器、鉄鋼製品、冷凍魚を中心に前年比5.2%増加した。ついでナイジェリア(構成比14.0%)であり、そこから大きく引き離されて、ようやくフランス(5.6%)が登場する。

「今後の伸びしろを考えるとやはり経済ビジネスでは中国だ」と多くのコートジボワールのビジネスパーソンは語る。

 フランス語が圧倒的に話される国でも、経済ビジネスとなると中国なのだ。フランスから中国への移行が着実におきている。

 中国からの輸入品の一つにカカオ豆に関する工作機械類がある。筆者が参加した農業関係の博覧会では、中国企業の農業工作機械の出展が目立っていた。

 実は、コートジボワールは、チョコレートの原料になるカカオ豆の生産量では、世界全体の3割以上を占めて1位である。前述した博覧会でもカカオ豆やチョコレートは最大の展示品だった。

「カカオ豆というとガーナではないの」と思う方も多いかもしれない。が、「ガーナチョコレート」のブランド名からチョコレートのイメージが特に日本では高いガーナのカカオ豆の産出では世界2位である。

 フランス語圏(コートジボワール)、英語圏(ガーナ)という違いはあるが両国の国境は接している。また、現地語としては共通性も高い。カカオ豆は、コートジボワールとガーナといった西アフリカの大西洋に面した沿岸の国で多く生産されているのだ。

コートジボアールのカカオ農園(写真:ロイター/アフロ)コートジボワールのカカオ農園(写真:ロイター/アフロ)