東洋大は日体大に約11秒届かず、涙の落選
17年連続で全日本大学駅伝に出場している東洋大が苦しんだ。選考会を突破できるのは7校のみ。1組目は総合5位につけたが、2組目で圏外に弾きだされる。
今年の箱根駅伝でアンカーを務めた薄根大河(3年)が後半にペースダウン。30分11秒91の33着に沈んだのだ。
薄根は関東インカレのハーフマラソンで転倒。膝を打撲するなどしたが、「2週間で合わせてやると思って、監督に『絶対に走ります!』と伝えたんです」と途中棄権の悔しさを、全日本選考会で晴らすつもりだった。しかし、酒井俊幸監督の期待に応えることはできなかった。
2組終了時で東洋大は通過圏外となる8位に転落。3組で順位を上げることができず、最終4組を迎えた。総合5位の中央学大とは約25秒差、同7位の日体大とは約7秒差。両校をターゲットに酒井監督は2年生コンビに逆転を託した。
「総合6位の日大は留学生がいたので、『中央学大と日体大に先着してほしい』と伝えました。でも両校とも素晴らしいパフォーマンスだったなと思います」
中央学大は近田陽路(4年)が自己新の28分32秒54で14着、市川大世(3年)が28分44秒43の21着。日体大は平島龍斗 (4年)が28分30秒10の10着、山崎丞(4年)が28分47秒89の24着と踏ん張った。
一方、東洋大は松井海斗が28分29秒08の9着でライバル校のエースに競り勝つも、内堀勇は28分53秒14の27着。両校の選手に先着を許して、“逆転通過”はならなかった。なお2年生コンビはともに自己ベストだった。
最後の1枠は日体大で、東洋大は約11秒届かず、全日本大学駅伝の18年連続出場を逃した。
「ベストメンバーが揃わず、ミスもあったのが敗因です。あと全日本選考会が昨年より1か月早まったのも影響しましたね。2~3月に主力の体調不良があり、本来なら3月末ぐらいから10000mに出られるぐらいのビジョンで考えていたんですけど、想定通りにいきませんでした。また関東インカレの1部校は降格があるので、しっかりやらないといけない。選手層を厚くしないとタイトなスケジュールを消化するのは厳しいなと思いました」
箱根駅伝4区で区間3位と活躍した岸本遼太郎(4年)は足裏に感染性のイボができたために、同5区を担った宮崎優(2年)は股関節痛のために起用を断念。3組に出走した緒方澪那斗(4年)は冬季にインフルエンザなどで体調を崩して、最終4組を任せられる状態まで仕上がっていなかった。
「監督に就任して16年間、三大駅伝すべてに出場してきましたが、全日本に出られないのは初めてです。これをプラスに捉えて、出雲と箱根で上位に挑めるように作り直していきたいと思います。11秒届かなかった現実をチーム全員で受け止めて、新しい東洋を作っていきたい」
これまでも危機的な状況から何度も這い上がってきた東洋大。涙の落選が、鉄紺をさらに強くするはずだ。