地域経済への貢献も期待
ネットワーク拡大は、顧客への最終配送を担う「ラストマイル」の強化が中心となる。自社物流網に加え、中小企業が配送を請け負う「デリバリー・サービス・パートナー(DSP)」や個⼈事業主が自身の車両で配達する「Amazon Flex(Amazonフレックス)」、地域の小規模店舗(花屋やコーヒーショップなど)が配達拠点となる「Hub Delivery(ハブ・デリバリー)」といった多様なパートナーシップを活用する。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2024年、アマゾンが地方部への迅速配達のために契約ドライバーや小規模店舗の活用を増やし、米郵政公社(USPS)への配達委託を減らす動きを進めていると報じていた。アマゾンによれば、この投資により、地方部の住民は、3億点以上の幅広い品ぞろえの商品をより迅速かつ便利に受け取れるようになるという。
地域経済への波及効果も期待される。アマゾンによれば、同社の物流施設進出は、地方の域内総生産(GRP)成長や世帯所得の向上、貧困率の低下にも寄与するといった研究結果もあるという。
米南部ルイジアナ州アブビルの市長は「地域社会にとって信じられないほどの恩恵」であり、「生活の質を向上させている」とコメントしている。アマゾンは、「Hub Deliveryなどを通じて、地域の小規模事業者に年間最大2万7000ドルの追加収入機会を提供する効果も見込まれる」と説明した。
物流網拡大続く、勢力図の変化が注目される
アマゾンは、自社物流網の拡大に巨額を投じてきた。WSJは、アマゾンの米国における宅配荷物取扱個数が、2020年に米フェデックスを抜き、2022年には米UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)も抜いたと報じた。米経済ニュース局のCNBCによれば、UPSは2025年4月に、アマゾン向け配送の縮小などを理由に大規模な人員削減を発表しており、物流業界の勢力図の変化が注目される。
また、米ブルームバーグ通信は2025年4月、アマゾンが全米の都市部及び地方部における約80カ所の新たな物流施設のため、150億ドル規模の倉庫拡張計画を検討しているとも報じており、同社の物流インフラへの投資が今後も継続する可能性を示唆している。
(参考・関連記事)「アマゾン、150億ドル規模の倉庫拡張検討 資本パートナー募集、建設減速から転換へ 配送網強化、成長へ再投資 | JBpress (ジェイビープレス)」