親たちは何に激怒しているのか

 抗議活動は11日に発生、南宮市政府庁舎前に保護者たちは集まり「同意しない!」「指導者でてこい!」などとスローガンを深夜まで叫び続けていた。保護者たちは南宮市に豊翼小学校の閉校を撤回するか、でなければ少なくとも現在校生全員の卒業まで延期することを要求していた。

 南宮市は保護者たちの抗議活動に対して、大量の警官隊を派遣し、現場に交通管制を敷き、市庁舎前の広場の照明を消すなどして、保護者達を解散させようとした。12日の午前まで、保護者たちの抗議は続き、南宮市政府はついに豊翼小学校の閉校を撤回することで、なんとか事態を収拾した。

中国人民政治協商会議をモニターで見学する小学生ら=2024年(写真:CFoto/アフロ)

 この事件は中国の公式メディアは報じていないが、SNSのX上では拡散され、チャイナウォッチャーたちが注目、さまざまな分析コメントを寄せていた。

「公立学校が財政難に陥っているのは学童が少なくなったからだ」「こんなだから、みんな子供を産まなくなった」「保護者たちは公立校に反対しているのではない。政府が、児童たちの権益を無視して、子供たちの教育を乱暴に妨害したことに怒っているんだ」「私立学校を閉校にしたからといって、公立学校の問題が解決するものではない。保護者と学生に犠牲をしいるだけで、問題の本質は治らない」「公立学校が財政難なのはわかるが、それは政府の問題であって、私立学校はなんの関係もない。権力を欲しいままに、資源を搾取するやり方だ」

 あるいは、こういう批判もあった。

「奴ら(政府)は、我々を小粉紅(愛国的若者)やネット紅衛兵に洗脳するために公立校を拡大しようとしている。本当は教育なんてどうでもいいんだ。子供に教育を本当に受けさせようと思うなら、奴ら(政府)を教育に関わらせちゃいけない」

「公立学校の教員報酬を大幅に引き上げることなしに、このような問題を解決することは不可能だ。貧富の差が拡大していけば、家庭の教育水準も拡大していくし、地域の不均衡も拡大していく。東南の沿海部の学校は東北や北部の優秀な教師たちを根こそぎ奪っていく。一部公立学校の教師は、給与未払い状態が起きている。中国共産党幹部は、そんな状況を見て見ぬふりをして、中国は素晴らしい、発展していると喧伝して、軍事予算は増加し続けている。こんなことで中華民族の台頭など実現するだろうか」