日本の「実写」が世界で成功した理由
坂本:アニメのオリジナル作品の話ともつながりますが、10年前のNetflixの日本立ち上げの時期に、実写作品が過小評価をされていたのは確かです。日本はマーケットとしては重要。しかし、日本発の実写を世界が求めるか、については、強く疑問視されていました。日本から世界に広がった実写作品は、過去には本当に片手で数えられるくらいしかなかったからです。
その中でまずはクオリティだと考えました。脚本や世界観をきっちりと作りこんだ制作を経て、最終的に190カ国対応の各言語にローカライズするプロセスを確立するのに10年かかりました。いまは、世界のNetflixで日本発の作品は非英語で2番目に多く視聴され、アニメに加え、実写の強さも本物だとの評価も頂けています。この実写の成長プロセスを経たことから、オリジナルのアニメでもきっと成功できると信じています。

アニメと実写、全体のコンテンツを見る中で、アニメについては実写と同様にストーリーテリングを開発段階から支援するシステムを作ることを目標として据えています。ライセンス作品で充実したラインアップを揃え、日本はもちろん世界でアニメファンを拡大しつつ、クリエイターのみなさんと、オリジナルストーリーのアニメでも挑戦を続け、どう結果を出すかです。
——3月の「AnimeJapan 2025」のセミナーのなかで、「SAKAMOTO DAYS」を例に、IPとしてどう広げていくかといった話がありました。日本のアニメ製作者の懸念は、Netflixは確かに世界で多く見られているけれども、2次展開がしづらいかもしれないと感じることかと思います。そこに施策はありますか?
坂本:作品によって契約形態は変わるのですが、「SAKAMOTO DAYS」ではNetflixのコンシューマープロダクトというマーチャンダイズ展開チームが、作品の世界観を理解したうえで、グローバルな規模でのグッズ展開を行っています。作品そのものに加え、広くファンダムと共に、作品の世界観をどう楽しむか、に今後はより力を入れていきたいです。これからどんどん進化していくと考えています。
——長編作品はどうですか? 作品を広げるためにオリジナル長編を配信前に映画として先行公開するとか、配信後に上映するといった施策は考えられますか?