なぜ主催者は新聞社が多い?

 将棋の8大タイトル戦のうち、最も序列が高いとされているのが「竜王戦」、それと並び称されるのが「名人戦」です。藤井棋士は双方のタイトルを手にしているため、「藤井聡太竜王・名人」と呼称されることが多くなっています。

 タイトル戦では日本将棋連盟のほかに、新聞社も主催者となっているケースが多々あります。

 かつて新聞の読者拡大にしのぎを削った新聞社は、将棋人気に着目。有名棋士の対局による棋譜(打った指し手を順番に示した対局の記録)を独占掲載することで読者を増やそうとし、昭和の時代からタイトル戦の主催者に名を連ねるようになりました。

 竜王戦の主催者は読売新聞社で、優勝賞金は将棋界最高の4400万円に上ります。もともとは、同じ読売新聞社が1950年に創設した「十段戦」が前身。これを発展的に解消させる形で、1987年に竜王戦が誕生しました。囲碁に比べて将棋の賞金が少ないことなどから、賞金の引き上げを図り、将棋の地位向上と普及を図ることを狙ったとされています。

 竜王戦には、プロの全棋士と女流棋士4人、それに奨励会員1人、アマチュア5人が参加します。まず、1組から6組に分かれてランキング戦を実施し、各組の上位者11人が竜王への挑戦権を懸けて決勝トーナメントで対戦します。竜王と挑戦者による七番勝負は例年10月から12月にかけて行われ、先に4勝した方が「竜王」となります。

 では、「名人戦」はどんな経緯で始まったのでしょうか。