米アマゾン・ドットコムが、同社の米国サイトで電子書籍の販売部数が印刷書籍を上回ったと発表した。電子書籍リーダー「キンドル(Kindle)」向け電子書籍がハードカバー書籍を上回ったのは昨年の7月のこと。
今年1月にはペーパーバックの部数も超えていたが、今度はハードカバー、ペーパーバックを合わせた全印刷書籍を上回ったという。
ベゾスCEO「これほど早いとは想像していなかった」
同社によれば4月1日以降、アマゾンの米国サイトでは電子書籍の販売部数が、印刷書籍よりも5%多くなった。これには無料版電子書籍の部数は含まれておらず、もし含めた場合はさらに多くなるとしている。
また2011年に入ってからこれまで販売した電子書籍の部数は、1年前に比べて3倍以上に伸びている。
アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は、「我々が書籍の販売を始めてから15年、電子書籍はまだ4年に満たないが、印刷書籍よりも頻繁に売れている。いつかこんな日が来ると大いに期待していたが、これほど早いとは想像していなかった」と述べている。
アマゾンはこの5月から、これまでで最も安価な、広告表示機能付きリーダー端末「キンドル・ウィズ・スペシャルオファーズ」(Kindle with Special Offers)」の出荷を開始しているが、ベゾスCEOはこちらの売れ行きも好調だと話している。
英フィナンシャル・タイムズは、この端末が消費者に受け入れられたことも電子書籍の販売に寄与したのではないかと伝えている。
アマゾンは特殊な事例
ところで、今回のアマゾンの発表を受けて、「いよいよ印刷書籍の終わりの始まり」などと述べている人もいると伝えられているが、それは早合点と言えそうだ。
米フォーレスターリサーチのアナリストによると、一般的な消費者向けフィクション/ノンフィクション書籍部門に占める電子書籍の割合はまだ14%で、部数、販売額ともまだアマゾンのように半分を占めるまでには至っていない。
米ニューヨーク・タイムズは、英出版大手ペンギン・グループ米国法人のデビッド・シャンクス最高経営責任者(CEO)が、「今回のアマゾンの発表はミスリードになりかねない」と述べたとも伝えている。