「平成四天王」の時代から「令和三羽ガラス」へと若年化が進む
ここで、1月に発表された日本棋院所属棋士の賞金ランキング・ベスト10をご覧いただこう(別掲表参照)。賞金ランキングという名目ではあるが、囲碁界では賞金に対局料を加えたものなので、タイトルホルダーでなくてもランキングされることもある。
1位の一力遼棋聖は2年連続2度目の首位。一力棋聖の27歳をはじめ、ほとんどが20代の棋士だ。

46歳と最年長の山下敬吾九段は、張栩九段(45)、羽根直樹九段(48)、高尾紳路九段(48)と共に「平成四天王」と呼ばれ、2000年代から2020年ごろまで活躍、席巻していたが、徐々に一力棋聖、芝野九段、許九段の「令和三羽ガラス」が台頭するにつれて若年化が進んだ。

35歳の井山裕太王座は2022年まで12年連続1位だった。七大タイトル制覇を2度も達成し、国民栄誉賞も受賞したレジェンドであるが、現在も一力棋聖と七大タイトルを分け合う位置にいる。30代といえば、世界的にも大ベテランなのだが、息の長い日本棋士らしくトップクラスの実力を維持している。

10代は福岡航太朗七段(竜星戦優勝)と上野梨紗女流棋聖の2人だ。19歳の福岡七段はデビューのころから期待の若手だったが、同期の仲邑菫三段が大きく注目されたためか、なかなか話題に上がらなかったが、昨年やっと一般棋戦で優勝を果たしブレイクした。

棋戦には若手棋戦、女流棋戦などがあり、若手棋士や女性棋士はそれだけ出場できる棋戦が増えるので有利と言える。藤沢里菜女流本因坊ら女性3人がランクインしているのは、女流棋戦、若手棋戦のほかに出場している一般棋戦でも活躍している証拠であろう。
藤沢女流本因坊の昨年の成績は53勝27敗。女流名人戦でタイトルを奪取し、扇興杯女流最強戦ではトーナメント戦優勝。女流本因坊戦も防衛するなど大活躍だった。その結果、勝ち星ランキング、対局数ランキングでは全棋士中1位となった。
年間80局というのは驚異的な数字で、各棋戦のトーナメントでかなり上位まで進めていることの証しでもある。多くの棋士が週に1局も打てない(対局数ランキング15位の棋士で48局)状況の中、タフにハードスケジュールをこなした。
