少数ながらレオン老人もいる

 この大量のユニクロ老人の対極に、別の派の老人がいる。

 おれは一味違うぞと、髪の毛からつま先まで、高価なもので決めまくり、カッコいいじいさん、イケてるじいさんを意識している連中がいる。

 こちらは、ジローラモが毎号表紙を飾っている雑誌『LEON』にちなんで、レオン老人と呼んでおく。

 ユニクロ派に較べれば、もちろん、少数である。

 けれど2001年に創刊された『LEON』が、いまなお20年以上もつづいていることからわかるように、つねに一定数の読者がいるのである。

 元々『LEON』は、「30~50代の男性をターゲットにした」というが、現在の購読者はもっと高齢な感じがする。

「2002年2月号の特集『モテるオヤジの作り方』特集が大ヒット」したというように、かれらの目標はちょいワル、イケじじいである。

レオン老人があこがれるのはこんな姿か(写真:G-Stock Studio/Shutterstock)レオン老人があこがれるのはこんな姿か(写真:G-Stock Studio/Shutterstock)

 かれらが実際に『LEON』を読んでいるかは関係ない。高級志向のカッコつけているじいさんを、とりあえずレオン老人と呼ぶのである。

変わったのは見た目だけではなく

 1970年前後、おしゃれな大学生たちは「アイビールック」という衣服に身を包み、繁華街を闊歩していたらしい。

 わたしは生まれてこの方、流行りのファッションに興味をもったことがないが、そんなわたしでも「VAN」や「JUN」といったブランドは覚えている。当時の若者の流行を先導したらしい石津謙介という一種のカリスマ的存在の名前も記憶している。

 いまのレオン老人たちを見てみると、当時のアイビールックの末裔ではないかと思う。