砂のスペシャリスト、コパノリッキー
「東京大賞典」は年末に行われることもあって国内ダート競馬のその年の総決算、ダート王決定戦という趣が漂っていますが、それから2か月後、今度はJRA主催のダートG1レース「フェブラリーステークス」が開催され、JRAのダート強豪馬が集結します。
「フェブラリーステークス」は1997年にG1レースに昇格し、その10年後には外国馬も出走できる国際競争となったことで、注目度が高まりました。しかし、この2つのレースとも国際レースとはいうものの、過去に海外から遠征して出走してきた馬はごく少数で、「東京大賞典」では2014年のソイフェット(米国)、「フェブラリーステークス」では2023年のシャールズスパイト(米国)ぐらいで、前者は16頭立て16着、後者は16頭立ての9着と勝負になりませんでした。
「フェブラリーステークス」の人気アップに一役買ったのが、2014年と2015年に連覇したコパノリッキーです。同馬は2014年の2月に行われた同レースで16頭立ての16番人気、その馬がなんと2着馬に半馬身の差をつけてゴールを突き抜けたのです。
単勝馬券の最低人気馬がG1レースに勝利したのは史上3度目だそうで(障害レースを除く)、100円の馬券が2万7210円になりました。馬主さんあたりは10万円くらいの単勝馬券を購入していることでしょうから、億単位の収入となったかもしれません。馬名からおわかりのように、馬主さんとは、風水作家・Dr.コパこと、小林祥晃氏です。
コパノリッキーは翌年もこのレースで優勝、このときは堂々の一番人気での勝利だったので単勝馬券は210円でした。
同馬の父・ゴールドアリュールは現役時代、当初は芝のレースに出走していましたが、今一つ成績が伸びず、ダートのレースに出走すると、走りが一変。G1レースに5戦連続出走し、なんと4戦で勝利するという、水を得た魚か、砂の走りを知った1歳上のクロフネか、という巧者ぶりで、その血は確かにコパノリッキーに受け継がれたようです。
2018年に種牡馬生活に入ったコパノリッキーの産駒は2021年からデビューしています。地方競馬でのダートレース重賞の勝ち馬は何頭か出していますが、JRAで成績を上げている馬はまだ出現していません。