
(元吉 烈:映像作家・フォトグラファー)
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作や「フォレスト・ガンプ」などの監督を務めたロバート・ゼメキス。CG技術の積極的な活用と、CG技術によって映像表現の幅を広げてきたことでも知られている。このハリウッドを代表する監督の最新作「Here」は、ある土地とそこに建てられた家に生きる人間たちの物語だ。
*以下、映画のネタバレがありますので、気になる方はご注意ください。
ゼメキスは「スターウォーズ・シリーズ」のジョージ・ルーカスや、「ジュラシック・パーク」(1993年)のスティーブン・スピルバーグとともに、CG技術発展と映画のスペクタクル化を推進してきたひとり。
特にブレイクスルーとなったのは、「フォレスト・ガンプ」(1994年)で主人公のフォレスト(トム・ハンクス)が、ジョン=F・ケネディと握手をする、またはリチャード・ニクソンから直々にウォーターゲート・ホテルに招待されるシーン。
これらのシーンを描くために、過去のテレビ映像にハンクスを入れ込む合成技術を採用。また、ベトナム戦争に出征したフォレストの上官が負傷によって足を切断した姿をCGによって描いたことで観客の度肝を抜いた。
知能指数は劣るが、並外れた身体能力と心優しい人柄で次々と成功していくというアメリカン・ドリームの物語に、最先端のCG技術によるスペクタクルを組み合わせたことで映画は大ヒットを記録、アカデミー賞6部門を受賞した。
本作では、ゼメキスが再びトム・ハンクスとロビン・ライトという「フォレスト・ガンプ」の俳優を起用。今度は彼らの顔を20代から80代に変化させるという最新のAI技術を用いるということで話題を集めた。