日本人は男も女も、マジメといわれることを「恥」だと思っている。おまえはマジメだなあ、といわれると躍起になって否定したがることからもわかる。

 マジメということはひ弱な人間、つまらない人間といわれているに等しいのだ。代わりに、ちょっと不良っぽいのが「かっこいい」とされる。

英語にも「汚い言葉」はある

 日本には男言葉と女言葉がある。

 女が「うっせえ うっせえ うっせえわ」と歌うと、注目されるのだ。

 女が男言葉を遣うときは、あえてワルぶることで、強い言葉で自分に気合を入れることがあるのではないか。やるっきゃねえ、やるぜ、ばかやろう、というように。

 しかし英語では男も女も、大人も子どもも、すべて「I」である。

 それでも男と女の言い回しには違いがあるようだ。「Thank you so much」のように、「very」の代わりに「so」を使うと、柔らかいというか女性っぽくなると聞いたことがあるが、よくはわからない。

 ただ英語にも汚い言葉遣いはある。ギャング言葉やちんぴら口調もあるだろう。

 例えば「you」を「ya」というとき、どんな感覚なのだろうか。「おめえ」とか「てめえ」といったニュアンスがあるのか。

「レイ・ドノヴァン」というアメリカのテレビドラマがある。まともな人間は一人も出てこず、全員ろくでもない連中ばかりという珍しいドラマなのだが、これを見ていると、どいつもこいつも、喋るたびに「ファッキン」を連発するのだ。

 べつにこのドラマに限ったことではない。ほかの映画でもそうだが、この4文字言葉は頻繁に聞く。映画ではなく、普段の生活でもそうなのか。

 ただアメリカ人にも「汚い言葉」という意識ははっきりとあるようだ。

「ファッキン」といったそばから、女性に向かって汚い言葉を遣ってごめんと謝ったり、母親が夫や男たちに、子どもたちの前で汚い言葉は使わないで、といったりする場面がよくある。

 この意識はおもしろい。偽善であれ、形式的であれ、日本人にはあまりない感覚である。

桑田真澄、いまでは穏やかな話しぶりだが

 桑田真澄は巨人入団時のいざこざで、「若いくせに金に汚い」というイメージを作られ、マスコミから「投げる不動産屋」「借金王」と叩かれた。

巨人入団後のキャンプで長嶋茂雄氏に見られながらピッチング練習する桑田(1986年2月、写真:共同通信社)巨人入団後のキャンプで長嶋茂雄氏に見られながらピッチング練習する桑田(1986年2月、写真:共同通信社)