玄界灘の向こうが北朝鮮の領地になってしまったら?

 朴槿恵大統領が弾劾された時、韓国保守は完全に理性を失った国民の勢いに押され、保守の存在意義を提示できなかったどころか、政治家たちは保身に走った。

 それでも、いつかの自民党が下野した時の某総裁のように「捨て石」になる覚悟をして文在寅と大統領選挙で戦ったのが洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏だった。筆者はそれだけでも価値があったと思うのだが、彼でさえも韓国保守からの評判はイマイチである。

「洪準杓は右派っぽい発言もするけど、ここぞという時に左派に妥協する。そして大統領選挙に落ちた後には、なぜ自分を大統領に選ばなかったんだ。と国民を責めるような発言をする」
「自分だけが正しいと思っている。親米派を気取っているくせに反日主義で、韓日米同盟の国際的なセンスゼロ。彼は右派ではない。ただの時代遅れで朝鮮王朝時代を生きているお山の大将」

 これらは筆者の友人の意見である。要するに、韓国保守は彼らの間でイデオロギーを共有できていないのである。

 対する韓国左派は、5年間の文在寅政権で露見された出来事を見ると、確実に従北勢力である。そして、国民のマイナス的感情をつかんで扇動する力が非常に強い。

 これでは、どんなに頑張っても保守は左派勢力には勝てない。結局は「独島(竹島)は韓国の領土」と号令をかければ、老若男女全て挙国一致大連合、左向け左になるだけである。

 本気で逆転を考えるならば、太極旗と星条旗と共に日の丸を振ってデモするくらいの発想の転換が必要であろう。ただ、100年経ってもそんな日が来るかどうかは疑問である。

 今回の事態を日本から見ている方には「韓国の大統領は、また弾劾されたんだね」程度で、対岸の火事に見えるかもしれない。でも、想像してみてほしい。福岡から玄界灘の向こうにある釜山が、北朝鮮の領地になってしまったら、日本はどうなるかということを。

 これはまさかの話ではない。韓国がこうなってしまった以上、十二分にあり得る話である。

立花 志音(たちばなしおん)
1977年生まれ 東洋英和女学院大学短期大学部キリスト教思想科卒業後、損保勤務を経てソウルに留学。2005年韓国で出会いの夫と結婚。現在2男1女を育てながら日本人が見る韓国をライターとして韓国内で活動中。