小国への攻撃が大戦につながった歴史

 第1次世界大戦と第2次世界大戦の引き金を引いたのは小国に対する攻撃だった。

 英国の内閣が1914年にドイツとの戦争に踏み切るべきか否かについて苦悩していた時、後に首相となるデビッド・ロイド・ジョージは妻に宛てた手紙で次のように書いた。

「私は平和を守るために懸命に戦ってきた(中略)だが、もしベルギーという小国がドイツから攻撃されるのであれば、私の長年の信念はすべて戦争に関与する側につくという結論に至らざるを得ない」

 英国とフランスは不名誉にも、1938年に当時のチェコスロバキアをナチス・ドイツから守ることを拒んだ。

 だが、両国はそれから1年も経たないうちに過ちに気づき、ドイツの攻撃リストの次の小規模な隣国だったポーランドに安全保障の対象を広げた。

 ポーランド侵攻が大戦開始の引き金を引いた。

 トランプの支持者らは、彼のレトリックと過去や現在の侵略者のそれとの比較をことさら嫌う。

 こうした支持者は、トランプの要求は実は、独裁的な中国、そして恐らくロシアとの闘争のために自由世界を強化することを目指していると訴える。

 トランプは国家安全保障を根拠として掲げ、カナダ、グリーンランド、パナマに対する拡張主義的な野望を正当化した。