低価格帯機種にも対応させる「生成AIの民主化」
そして、最後に来るのが低価格帯機種だ。スマホ業界はハードウエアとソフトウエア両面で技術革新を進めており、生成AIを低価格帯で実現させたいと考えている。カウンターポイントによれば、これは「生成AIの民主化」と呼ぶことができる。
例えば、米半導体大手のクアルコムは、生成AIに最適化した中・上位のプロセッサーを開発している。大規模言語モデル(LLM)を手がけるIT(情報技術)大手各社は、低価格機種でも利用できる軽量言語モデルを開発している。軽量ながらも高い性能を実現するため、様々な最適化技術を活用している。
これらの施策により、2027〜2028年には250米ドル以下のセグメントで、生成AIの導入が加速し、出荷台数の増大につながるとカウンターポイントは予測する。
「早期の買い替えを促すまでには至っていない」
同社によれば、当初、生成AIだけでは魅力的なユースケースが欠ける。このため、AI搭載というだけでは買い替えを促すことはできない。しかし状況は技術の進歩と共に変化する。メーカー各社がAI機能を洗練させ、その成果を積極的にアピールすることで、消費者への訴求力が高まる。
別の調査会社である米IDCも同様の分析を行っている。IDCシニアリサーチディレクター、ナビラ・ポパル氏は「(生成AIは)まだ需要に大きな影響を与えたり、早期の買い替えを促したりするまでには至っていない」と指摘する。
同氏は、「生成AIは今後数年間で(スマホの)ユーザー エクスペリエンスに革命を起こすと考えられるが、消費者の認知度を高め、『必須』と思わせる機能を導入するためには、さらなる投資が必要だ。そのような機能が登場すれば、多くの消費者に受け入れられ、誰もが待ち望むスーパーサイクルが生まれるだろう」とも述べている。