密かに流行る「韓国デモ体験ツアー」に中国政府が警戒感

 新年が明けてからも戴兵新大使が活発に活動していることは、在韓国中国大使館のホームページなどからも明らかだ。だがその中で、1月4日に在韓中国大使館が発した興味深い文章があった。全文は以下の通りだ。

<韓国の「出入国管理法」に基づき、法律が規定する状況を除いて、韓国にいる外国人が(いかなる種類のビザであれ)、政治活動に参加してはならない。もし違反した場合には、重い場合には即刻国外退去となる。

 最近、韓国の多くの場所でデモ行進や示威などの政治集会が頻発している。在韓中国大使館は特に、韓国にいる中国公民や中国人観光客に、次のことを申し入れる。法律の意識と自己保護の意識を強化し、現地の政治集会や人々の密集場所とは距離を置き、政治的な言論を公開発表せず、集会が引き起こす交通規制に留意し、人身と行動の安全を確保すること>

 この警告文の意味するところは、単に中国政府が自国民の身を案じているのではない。中国では昨今、「韓国デモ体験ツアー」なるものが、密かなブームになっているのだ。

 経済の悪化に伴う就業難などで、多くの中国の若者はストレスを溜めている。だが、中国国内でデモなど行えば、一生を棒に振るハメになる。そこで「韓国旅行」に行き、デモを体験してストレス解消してくるのだ。中国政府からすれば、彼らは将来の「デモ予備軍」に映るのだろう。

 ともあれ中国外交にとっては、韓国の政権交代は、明らかに「僥倖(ぎょうこう)」である。昨秋の日本での石破茂政権誕生が「僥倖」であったように。