そもそも、折りたたみスマホは市場規模が小さいと指摘されている。米調査会社のIDCによると、その2024年7~9月の世界出荷台数は前年同期から7.4%減少した。最近は中国メーカーが生成AI(人工知能)スマホに注力し、投資をシフトしているため、成長ペースが鈍化している。

 耐久性に関する懸念や独自のユースケースに乏しい点が、成長を抑制する要因だとIDCはみている。台湾の調査会社である集邦科技(トレンドフォース)は、折りたたみスマホは依然としてニッチであり、2024年の世界スマホ市場に占める比率はわずか1.5%に過ぎない、と予測している。

新しい設計は業績向上の原動力

 ただ、歴史的に新しいハードウエア設計はアップルの業績向上の原動力になってきた。約10年前の2014年9月、同社は初めてiPhoneを大きな画面サイズで発売した。「iPhone 6」(4.7インチ)と「同6 Plus」(5.5インチ)である。この年のiPhoneの年間販売台数は、前年比25.5%増の1億9266万2000台と、過去最高を更新。空前の販売実績を記録した。翌2015年は「iPhone 6s」と「同6s Plus」を発売したが、この年は前年比20.2%増の2億3152万9000台だった。

 ただ、翌年以降は販売が伸び悩んだ。2016年は7%減の2億1539万5000台、2017年は0.2%増の2億1578万2000台と推移。その後同社は、「もはや販売台数は業績を表すための指標として関連性が低くなった」とし、2018年10~12月期決算発表から、販売台数の公表をやめた。

 (参考・関連記事)「アップルが販売台数の公表を取りやめる理由 | JBpress (ジェイビープレス)

 2024年9月末までの2024会計年度におけるiPhoneの売上高伸び率は、1%に満たなかった。こうした中、アップルは久しぶりの大きなデザイン刷新で、iPhone販売のテコ入れに乗り出すということのようだ。

 スマートフォン市場を調査する米ベイストリート・リサーチの主席アナリスト、クリフ・マルドナド氏は、「アップルは、ユーザーの買い替えを促すためにハードウエアの刷新に目を向けているようだ。iPhone 16は、退屈な見た目の最後のiPhoneになるだろう」と指摘している。