カリスマ経営者が全裸になり身体検査
建物に入ると、ゴーンのスーツケースを開いて中身が仕分けられ、押収された。刑務官たちはゴーンが何者であるかを明らかにわかっていたが、プロの冷静な対応で自分たちの仕事をした。誰も英語を話さなかったが、ゴーンはそっけない指示をなんとか理解した。
ゴーンは全裸になって身体検査を受けた。手と足を片方ずつ上げ、しまいには刑務官の前で四つん這いになった。衣類は没収され、囚人服が与えられた。くすんだ薄緑色の医療用白衣のようなものだが、もっと粗くてごわごわした素材だ。半透明のプラスチックサンダルが手渡され、拘置所の中を案内された。ゴーンの独房は狭く、茣蓙(ござ)が敷かれていた。
ゴーンの前で、重たい鉄の扉が閉まった。
(文中敬称略)
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