国会内で開かれた自民(奥右側)、公明(手前)、国民民主3党の税調幹部らによる協議=17日午前(写真:共同通信社)国会内で開かれた自民(奥右側)、公明(手前)、国民民主3党の税調幹部らによる協議=17日午前(写真:共同通信社)

(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

社会保険料率は「四公六民」?

「社会保険料」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?

 若いビジネスパーソンなら、「ああ、給料から毎月、ずいぶん天引きされている費目ね。細かいことはよくわからないけど」などという人が多いのではないか。少し時事問題への感度が高い人なら、最近政治で話題になっていることを知っているかもしれない。

 しかし自分自身のことを振り返ってみても、社会保険料やその仕組みについて細かいことを習った記憶はほとんどない。

 そもそも「社会保険料」は仕組みが異なる5つの保険の総称である。

 あなたは5つを挙げることができるだろうか。筆者は大学に限らず、企業研修や市民講座などいろいろなところで、日本の政治や制度を解説する機会があるが、自信をもって回答できる人は少ない印象だ。

 ちなみに社会保険料とは、年金保険、健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険の総称である。労災保険は事業者負担でまかなわれており、一部を除き労働者の負担はないが、他のものは労働者と事業者が所定の保険料率が定められ負担を折半する仕組みになっている(労災保険は近年特別加入制度の範囲が拡大され、フリーランス等でも加入できるケースがある)。

 最近は「四公六民」などという言い得て妙な表現がネットで評判になっている。財務省が令和6年の国民負担率の見通しを45.1%と公表したことに起因するようだ。

令和6年度の国民負担率を公表します : 財務省

「国民負担率」というとおどろおどろしいが、実際には国、地方の税収と社会保険料等を足し合わせたものを分子に、分母に国民所得をおいて割る。ベンチマークにしている国と比べると、確かにアメリカよりは高い数字だが、アメリカは先進国の中でも高齢化が進んでいない数少ない国で、日本と同じように高齢化が進む欧州の国々と比較するとそれほど高い数字ではない。

 また国民所得比ではなく、GDP比で割れば日本の負担率はかなり小さくなることが知られている。