大気圧の振動に揺さぶられる気象
北極振動のような大気圧の振動現象は世界各地で見られます。南極でも同様の現象があり、「南極振動」と呼ばれています。遠く離れた南半球で起こる大気の変動であるものの、間接的に日本の気象に影響を及ぼすことがあります。
冬の日本に直接的に影響を与える振動では、北極振動以外にもエルニーニョ現象およびラニーニャ現象と連動する「南方振動」があります。エルニーニョ・ラニーニャは赤道付近の上空で東から西へ吹く貿易風が弱まったり強まったりすることで生じますが、原因は南太平洋の東部と西部で大気圧がシーソーのように高低振動する現象です。この振動を南方振動と呼び、大気と海洋の連動現象として理解されています。
エルニーニョ・ラニーニャのような海面水温の変動現象で、長期スケールで振動するものがあり、「太平洋十年規模現象」と呼ばれています。太平洋各海域、とくに北太平洋の中央部と北米沿岸において、一方の海面水温が高くなると他方が下がるという10〜20年単位の振動現象で、やはり大気と連動して変動します。太平洋十年規模現象は短期的な変動であるエルニーニョ・ラニーニャとも相互に作用しながら、日本の気象に影響を及ぼしていると考えられています。
(編集協力:春燈社 小西眞由美)