所得控除を103万円から178万円に引き上げることを強く主張している国民民主党だが、税収減を補う財源が明確でないなど問題も指摘されている。果たして「103万円の壁」はどう決着するのか、国債増発で若者世代の将来負担とするのか──。山本一郎氏の論考(前編)。
(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員)
疲れてやってられないので、眠気覚ましに記事を書いております。各方面から「国民民主党の政策論はおかしいので叩いてほしい」とか「議論を整理していかないと混乱して困るので財源論を含めた叩き台を示せ」などの無茶ぶりが非常に増えておりまして非常に困ります。いや、こちらは真面目に着地可能な政策論とロジをどうにかしたいだけなんですが……。どうしてこうなった。
今回の記事は、政策協議で各方面から真ん中に位置する私から見て、いま何が起きているのかを概観するものですが、先日、JBpressなどで書いた記事から話の本質はビタイチ変わっていない、というのが現状ではないかと思います。ボク言いましたよね。それも、1カ月以上前に。
◎国民・玉木雄一郎はなぜいま叩かれる?「手取りを増やす」がぶち破るべき本質的な「130万円の壁」とは(JBpress)
長くなるので最初に要約を掲載しておきます。
1.最近、支持率を伸ばしている国民民主党は、約7.6兆円の税収減となる財源の問題を明確にしないまま、所得控除を103万円から178万円に引き上げることを強く主張している。支持層を考えれば、この問題を引き延ばして支持をつなぎ止めたいのは当然。越年どころか、実現のために年度末まで引っ張ることもあり得る。
2.地方自治体の財源減少や福祉事業への影響、将来世代への負担転嫁という課題があるものの、この政策でいう手取りの少ない若者・勤労世代の負担軽減という国民民主党の理念・考え方は正しい。社会保障改革の入口になる議論で、着地に向けた政策協議はいずれ必要。
3.結局のところ、この問題は「高福祉高負担」を維持したい自民・公明・立憲民主党と、「低福祉低負担」で経済成長を目指す国民民主党・日本維新の会の路線対立として表面化している。そもそも現状維持してもいずれ破綻する社会保障をいまのまま護持していても先がない。