ホンダと三菱商事が急接近
三菱自動車は25年度から新中期経営改革をスタートさせると同時に社長交代を予定している。同社関係者の中には「新体制発足を契機に、協業の成果があまり出ていない日産と組むよりもホンダと組んだ方が、シナジー効果が高いのではないか」と見る向きもある。
たとえばEV向け電池で三菱自動車、三菱商事、GSユアサは合弁会社「リチウムエナジージャパン」を設立していた。だが、今年1月に合弁を解消し、GSユアサが三菱自動車と三菱商事の保有株を買い取った。
一方で、GSユアサとホンダは昨年8月、EV向け電池の合弁会社「ホンダGSユアサEVバッテリー開発」を設立。さらにホンダは11月、GSユアサの持ち株会社の第三者割当増資に応じた。
三菱自動車は次世代EV向け電池をホンダとGSユアサの新合弁会社から調達する流れが強まっている。電池は経済安全保障上、国内で安定調達を維持する重要戦略物資と位置付けられているため、新合弁会社は政府から1500億円あまりの補助金を受ける。三菱自動車を巻き込んだ規模拡大は国策にも適っている。
ホンダも三菱自動車の「守役」である三菱商事に近づいている。昨年10月にはホンダと三菱商事はEVのエネルギーマネジメントなどで協業する覚書を締結している。
ホンダは、三菱自動車が持つ技術で欲しいものがある。それは、三菱自動車のピックアップトラックで使われている「フレームボディ」と言われるトラックの開発、製造ノウハウだ。ホンダはブランド戦略を再構築している中で、ホンダジェットを買う富裕層向けにマリン事業を強化したい考え。クルーザーなどを牽引する際に車体が頑丈な「フレームボディ」で大型SUVを開発する構想がある。
さらにホンダは東南アジアの四輪事業が苦戦気味。東南アジアに強い三菱グループとの連携も模索していると見られる。